パン粉の知識

かつは洋食か和食か、ご存知ですか?

正解は和食です

なぜですかって。ではフレンチ やイタリアンのメニューにとんかつってありますか。
そうです、とんかつはお箸でいただく正当な和食なのです。では洋食と答えた方、少しだけ正解です。

その理由はとんかつについてのうんちくをお話しながらご説明しましょう。

とんかつの祖父と父

時は今からさかのぼること約1世紀、処は江戸改め東京の、とある西洋料理店。

さてここで作られるメニューの一品に「コートレット」なるものがありました。これこそが今のとんかつの祖父、ルーツ料理にあたります。

「コートレット」とは、仔牛の肉に少し硬くなったフランスパンをおろしがねでおろした粉(パン粉)を付け、油を敷いたフライパンで炒め、これにデミグラスソースをかけていただく料理です。

でも当時の日本人の口にはやや違和感があったようでした。

そこで肉を仔牛から豚肉に変える工夫を試みました。ポークコートレット改めポークカツレツ、いわゆる「カツレツ」の登場です。いわば「とんかつ」の父親にあたります。

とんかつ誕生の瞬間

やがて「カツレツ」は運命の出会いを迎えることになります。そのお相手とは天ぷら。

「カツレツ」の欠点は油っこいことだといわれていたようですが、それを工夫しようとしたのか、そこに偶然に天ぷら鍋があったからなのかは定かではありませんが、ある日、フライパンに乗るはずだった「カツレツ」が天ぷら鍋のなかを泳いでしまったのです。これが「とんかつ」誕生の瞬間です。

油から揚がった「カツレツ」は不思議なことにフライパンで炒めたものよりずっとあっさりと仕上がっていていつしか「とんかつ」と呼ばれるようになりました。ですから洋食と答えた方も少しだけ正解なのです。

パン粉とは

「パン粉」とは先にもお話したとおり、元々はフランスパンをおろしたものでした。

しかし「とんかつ」と同じような経緯で生まれたコロッケや揚げ物のバリエーションとしての海老フライやメンチカツなどと共に、揚げ物と呼ばれるジャンルの和の素材として進化したものが現在の「パン粉」なのです。

日本で初めてパン粉を商品化

そしてもうひとつの知識。今から約100年前、「パン粉」を和の素材として着目して日本で初めて商品化したのが、1916年(大正5年)、私たちライオンフーヅ株式会社の前身、宮崎岩松商店だったのです。

1937年(昭和12年)には日本で初めてソフトパン粉の製造を開始しました。

当時の商標

現在、当社のパン粉は800種類もある奥の深い商品なのです。

揚げた時のきれいな色にこだわるデリカ商材のお客さまには、天然着色のパン粉。
とんかつにこだわるお客さまには、大きいカツ用の粗いパン粉や、小さいかつ用の細かいパン粉。
冷凍食品用なら、レンジで温めてもパリっとクリスピーなパン粉。

一見脇役のように見えるパン粉ですが、その奥の深さ実は相当なものです。その原料となるパンも100種類以上あるのです。使用する食品や要望によってはいくらでも組み合わせが考えられます。

その中でベストな提案を行わなければ、お客さまには満足していただけません。常に全てのお客様の要望を満たすことが、私たちの仕事です。

ライオンフーヅは業務用パン粉の分野ではシェアナンバーワンを誇る会社です。顧客は大手食品メーカーやとんかつ専門店、コンビニエンスストアが中心です。

現在、創業114年という歴史はありますが、特に力を入れてきたのは商品開発です。お客様の要望をいち早く提案できる体制を作り、常に「新しい美味しさ」を研究しています。

また、将来性豊かな中国市場を視野に入れて、青島に独資企業を設立し、更に第2ステップとして上海地区にも進出することができました。
今後も海外市場を常に視野に入れた事業戦略を考えていくつもりです。